CGI

2005年08月25日

「魔法」(1)

 僕の彼女はひとつだけ魔法を使える。
「タイムカプセルを埋めた場所を探し当てる」魔法。
 皆はっきり言いたがらないけれど、人間は誰もがそういうような魔法を必ずひとつ使えるようだ。例えば、僕の弟は「喉に引っ掛かった魚の骨を取る」魔法。僕の友人の田中は「触るだけで食べ物の賞味期限が分かる」魔法。木下は「ペンキの塗り立てを一目で判別する」魔法。
 という具合だ。
 僕は自分のがどんな魔法かまだ知らない。気になるけれど、分かってしまったら、それはそれで寂しいものだ。いつも通り暮らす中でちょっとした奇蹟が訪れる瞬間を、僕は何気なく待ち続けている。ジャングルジムの高層階に登って。

(おわり)


『500文字の心臓』タイトル競作「魔法」投稿作品。
posted by sleepdog at 18:35| 北海道 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 旧作倉庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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