木陰で休んでいると、赤茶けた甲羅をした渡り蟹が横に来て、夢をわたしに語ってくれた。それは、自分が船長になって広い世界を翔け巡るという大きな夢だった。
海辺に群れる赤紫の浜梨――その花をひとつ摘み取って渡り蟹にあげると、とても喜び、船の旗印にすると言ってくれた。
夏の浜霧がぼわぼわと立ちこめて、頬をやさしく湿らせてゆく。
目を醒ますと、渡り蟹の話はまだ続いていた。
注意してよく聴けば、仲間は全部猿らしい。船と言うのも、宇宙へ行く船だった。
(おわり)
(8月25日 旧ブログより転載)
☆snowgameさん
おお!なんて素敵な作品なんでしょう。ものすごく好きです。
秀作。
★sleepdog
船乗りの夢って、何だか好きなモチーフなんです。わりと前に書いた作品なので、これを改めて読むと、なつかしさもあったりします。蟹とわたし。ただ、そんな構図が書きたくなって。
気に入ってくださって嬉しいです^^。
2005年08月25日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/6230543
この記事へのトラックバック
http://blog.seesaa.jp/tb/6230543
この記事へのトラックバック


