CGI

2005年08月29日

「びんちょうタン」はよく萌える

炭は燃えるもんだしね(^-^;)

久しぶりにYahoo!ニュースからピックアップ。
備長炭と言えば市販されてる炭の代名詞ですが、まさかこんな町おこしをやってるとは想像しませんでした。

人気キャラ「びんちょうタン」

頭に備長炭を乗せた着物姿の女の子「びんちょうタン」がどうも人気を呼んでいるらしいです。
そう言えば、時代を先取るニューウェーブ英単語学習本で「萌える英単語(通称:萌え単)」が話題を呼びましたが、萌え炭ですよ、みなさま。

……いや、それが言いたかった一発ネタじゃなくてね、真面目な話も少しだけ。ご存知の通り、町おこしにはいろいろ成功例、失敗例がさまざまありますが、無駄なハコモノに何億、何千万とかけるよりは、広がりのあるソフトを育てていくほうが効果的な事例は多いのです。

“萌え”キャラはワイドショーの司会者に呆れ顔で批判されがちですが、実際は単純に内省的で穏健なキャラクターだったりします。もちろん、執拗にのめりこむのはどうかと思いますが、時代にうまく乗っかって注目されることは上手な戦略のひとつなわけです。
ただ、微妙に引っかかるは、このキャラクターのターゲット(訴求対象)がよく分からないということ。アキバ系は七輪焼きとかキャンプとかはちょっと縁が遠いですよ? とか野暮なツッコミを入れてみる。
posted by sleepdog at 22:57| 北海道 ????| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月28日

SSFC12 エントリーしました。

泣く子も黙る、オンライン・ショートストーリー・コンテスト『Short Story FIGHT CLUB』の第12回がいよいよ開催されます。作者完全エントリー制で、投票により金賞以下が決まる熾烈な投稿イベントです。今回のテーマは「紅」。テーマなので、ただそれを素材に入れ込むだけでは評価は高くありません。いかにテーマに向き合い、個性的で完成度の高い掌編を書き上げるか。ああ、言ってるだけで眩暈がしてきた(^-^;)。

その一次エントリーが本日あり、早起きして待機していたおかげで、第一号にエントリーできました。一度は取ってみたかった(^-^;)。いや、本選での掲載順とかには全然影響しないので、大したことはないんですが、自分自身に対し意気込みを確かめたかったという感じでしょうか。とにかく、結果発表までの長丁場ですが、本腰入れて頑張りたいと思います。まずは作品が出来上がらないと勝負にならないので、いろいろ資料など集めながら。

二次エントリーは9月11日なので、最終的にどんな方々が顔を揃えるか非常に楽しみです。作者として参加しなくても、毎年良作・怪作が出てきますので、読むだけで楽しいイベントになることは間違いなしです。ぜひチェックしてみてくださいね。

『Short Story FIGHT CLUB』
fightclub_2.gif



一方、奇遇にも「うおのめ文学賞2005」の選考結果も発表になりました。残念ながら、今年は入賞はできませんでしたが、火鳥冬星賞と放射朗賞を非公式でいただいたので、何だか嬉しい気持ちです。「テントロック」はキャラクター造詣にとにかく集中し、力を注いだ短編なので、もしかしたらテーマの軽い処理(一応、犯罪的なものを扱っていますし)や芸能ネタが多さで敬遠される向きもあったかもしれませんが、それなりにインパクトを残せたのではないかと思っています。実行委員の皆様、ならびに拙作を読んでくださった皆様に御礼申し上げます。

『うおのめ文学賞2005』
posted by sleepdog at 15:53| 北海道 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「旅立ちの鐘」

 草原の小屋に年老いた金色の蝶が迷い込んだ。ひとしきり部屋の景色を楽しんだ後、テーブルの上に真新しいウールの山高帽を見つけ、そこで一晩羽を休めた。帽子のくぼみの心地良さに酔ううちに、蝶は金色の鱗粉をぽろぽろとこぼして、夜明けとともに山高帽は美しい真鍮のハンドベルに変わった。蝶の姿はどこかに消えて、鐘の肌に照り映う朝日の色だけが明るく小屋の中を満たす。旅立ちの朝、男は生涯で一番の寝覚めを迎えた。
 駅から続く石畳の広い道。朝の列車から降りた男は赤いタキシードを身にまとい、五匹のアルマジロを連れていた。道端に立ち止まり、革の旅行鞄からペンキの缶をいくつも取り出す。そして、アルマジロたちの背に色違いのペンキを塗っていった。
 それが終わると、五匹はきちんと一列に並び、男の合図でみんな丸くなり道を転がった。路面に五色のタイルのような模様が現れる。男は鞄から真鍮のハンドベルを取り出し、軽やかに鳴らした。石造りの家の中から子供たちが顔を出し、自然と周りに集まって来る。みんな男のことを待っていたのだ。期待に胸を膨らまし、路面をじっと見つめる。
 晴れやかな鐘の音は道いっぱいに鳴り響いた。道に塗られたペンキの模様は地面を離れ、二枚が一つになり鮮やかな蝶に生まれ変わって、一斉に空へと飛び立ち始めた。大きな模様は大きな蝶に、小さな模様は小さな蝶に。五色の蝶が入り乱れ、虹のジグソーパズルが降り注ぐような輝きが空一面に広がった。蝶は鐘の余韻に乗って気ままに宙を泳いでいる。
 男はグリーンスパゲティの束を子供たちに配り始めた。それを掲げると、蝶の群れが先っぽに止まるのだ。頃合を見て、男は鐘の音をすっと静めた。すると蝶たちは眠りに就いて、美しい花束に変わった。
 子供たちは花束を握り締め、目に輝きを浮かべ広い道を駆け巡る。五匹のアルマジロも一緒になってはしゃぎ回った。アルマジロがペンキを浴びて道を転げば、鐘は鳴り、道の模様がたちまち蝶へと変わるのだ。子供たちは花のシャワーを浴びるように夢中でアルマジロの後を追いかけた。
 やがて、蝶の影が空になくなると、男は大きく鐘を一つ鳴らし、アルマジロたちを呼び戻した。午後には次の町に向かうのだ。靴音が一定のリズムで歌い、道の向こうに去っていく。
「また来てくれる?!」
 子供たちは遊び疲れた肩を弾ませ、赤いタキシードとその足下に続く茶色い五匹の背中をいつまでも見送った。

(おわり)

後書き・コメントなど
posted by sleepdog at 10:15| 北海道 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 超短編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月26日

“読む癒し”プロジェクト もうちょっとだけ……

構想はある程度まとまっていますので、誰も期待してないかもしれませんが(苦笑)、プロジェクトのコンセプトなどをもう少し語ってみようと思います。

「ノベルテラピー」というものをやろうとしています。
一言でいうと、“読む癒し”です。もちろん科学的なものでなく、文芸的なものです。癒しをちょっと私なりの感覚で定義すると、「浄化」「空想」「ユーモア」に大別します。「浄化」というのは苦難からの再生によって人に元気を与える物語で、「空想」はゆったりした自由なイマジネーションの物語で、「ユーモア」は人を和ませる笑いの物語です。です、と言い切れないものですが、私はそんなふうに考えています。
で、私が編集長になり、「ノベルテラピー」の主意に合った作品を編集し、発信していくという試みです。編集とは採用の可否を判断するという意味を含みます。また、BGMや挿絵などもプロデュースします。
オンライン文芸はしばしば“玉石混交”や“垂れ流し”という批判を受けますが、そうならばやはり明確で分かりやすいプロジェクト・テーマを持ち、選び抜いた秀作を責任もって発信しようというのが狙いです。
コンテストではありませんので、投票や賞などはありません。あくまでもプロジェクトです。ただし、読者レビューはつけようかと思っています。作者の励みになること、また他の読者の興味を喚起すること、そういった試みは積極的に行っていきたいと思います。

とまあ、とりあえずこんな感じです。
実は、とある有名競作イベントがいよいよ動き出してしまったので、焦らず騒がずいろいろと準備を進めていきたいと思います。オンライン文芸批判めいたこともちょっと書きましたが、基本的には「ノベルテラピー」なので、いろんな人にお気楽に読んでもらえるものをやっていきたいと思います。ぜひご期待くださいね。


……前の記事に、何も反応がなくってすねてるわけじゃないですからね(^-^;)
そりゃ、反応あると嬉しいですが(←ロンリーチャップリン)
posted by sleepdog at 22:21| 北海道 ????| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マーワー

マレーシア語で「ばら」を意味するそうです。現在、日本列島を襲っている台風11号の名前です。
静岡では若干死傷者も出たようで、自然災害の猛威を恐れずにいられません。幸い、北海道はマーワーの上陸は免れそうですが、週末は家でひっそり怪談でも書いていようと思います。えっ、暗すぎますか?(-_-;)

さてさて、話題は変わって、私がいつもお世話になっている超短編サイト『500文字の心臓』で、第52回タイトル競作の募集要項が出ました。前回、私が逆選王をいただいたので、出題の役目を負うことができました。決定したタイトルは「隣りの隣り」です。

一見シンプルで、また解釈の幅が広く、どんなテイストでも馴染むような感じですが、タイトルを生かそうと思うとなかなか知恵をしぼらないといけない、少しくせのあるお題です。もちろん私も投稿するつもりですが、いったいどんな作品が寄せられるか、出題者としてとても楽しみです。締切は9月8日(木)。

『500文字の心臓』
posted by sleepdog at 21:22| 北海道 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月25日

旧ブログ超短編のお引っ越し 第1弾

旧ブログ「Subvisible Parade」から超短編をこちらに移してきました。
まずは一年前くらいの作品群を。『500文字の心臓』という超短編サイトを知り、書き始めた初期の作品(「妻の主食」、「金属バット」など)から、旧ブログ開設時の笑える超短編(「山門の入口に」、「うの字」など)までを一挙にお引っ越し。旧ブログでいただいたコメントも転載させていただきました。最近ご無沙汰の方の名前もちらほらと。皆さん、お元気かなぁ。

引っ越し第1弾なので、クリスマスパレード開催後から最近までの掲載作品は、近日中にまとめてアップする予定です。とりあえずは旧作もお楽しみいただければ幸いです。旧作に感想なんて今更かなぁ……などと言わず、お気軽にぜひどうぞ♪ よろしくお願いします。
posted by sleepdog at 19:33| 北海道 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「うおのめ文学賞」ラストスパート&新プロジェクト検討中……

まだ読み終わってませんが、今週末はどうやら北海道のほうにも台風が来そうなので、ゆっくり鑑賞したいと思います。今回は読者投票はありませんが、28日が結果発表なので、楽しみに待ってみたいと思います。とりあえず、うおのめ文学賞の掲示板のほうでは、拙作「テントロック ――星部長と朝子とツキムシ」(筆名:青砥十)が、火鳥冬星賞&放射朗賞(ノリノリで賞)をダブルでいただいたようなので、参加した甲斐がありました(^-^)。うれしい限りです。

さて、題名に仰々しくも「新プロジェクト」とか書いていますが、新党ではありません(爆)。
“読む癒し”の作品を少しまとめようかと思っています。秋から冬にかけて、ちょっと長いスパンで。例えば、お祭りという派手な形ではなく、他の方からも寄稿(旧作・新作問わず)もこっそり募ろうかなぁ、と考え中です。ついでに、プロジェクト名とかマスコットキャラクターとかも募集しようと思ってます。コンセプトは、ヒーリングリーディングを引っ掛けたような感じで。
作品を発信するスタイルも何か新鮮味のあるものにできたらいいですね。プロジェクト発足まで、こっそりとご期待ください。
posted by sleepdog at 19:23| 北海道 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「明るい家族計画」

「よし。ベトナム式のやり方を試そうか」
「なに、ぃっ?」
「お母さんが質問攻めにする」
「……お父さんは?」
「黙って見てるか、さっさと仕事に行ったほうがいい。まあそれよりさ」
「お母さんなのね。ぃっ」
「そう」
「魔法の言葉があるの?」
「いや――」
「っ。」
「授業はどうだった? 算数はできた? 給食はおいしかった? 帰りに誰と遊んだの? 宿題はあるの?」
「……で?」
「そしたら、子どもは答えるのに夢中で息ができないくらいになる」
「へぇ」
「短い質問を、とにかく機関銃のようにぶっ放すんだ。イメージできた?」
「いいから早く」
「ん」
「早く、横隔膜の痙攣を止めてよ。ぃっ。あの子が揺れて怖いって言ってるの」
「ま、ゆっくりやろうよ。知佳、お母さんに電話してみ」
「電話、遠い。――ぃっ」
「……よし。じゃ、プエルトリコ式のやり方を試そう」

(おわり)

後書き・コメントなど
posted by sleepdog at 19:21| 北海道 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 旧作倉庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「熱中ダンスチューン」

 友達に奨められたダンスチューンバンドのCDを借りてみた。
 早速コンポにかけ、冷蔵庫からライトビールを持ってくる。おっ、いきなり一曲目から来るじゃんか。いいじゃん、いいじゃん。ライブ版だけあって、期待以上にぶっ飛んだハイでブギーなトラックばっかりだ。
 三曲目の後にメンバー紹介が始まった。マイクに舐めつくようなDJのもだえる声がステージに響く。「オン・ギトゥアー、ケリィー!」ギタリストがアドリブで軽妙なリフをかき鳴らす。観客にパフォーマンスで応えているのだ。「オン・ベェース、ポール!」ベースの力強いチョッパーが過熱する。観客が拍手で彼らを祝福する。「オン・ドラァムス、ジャッキィー!」スプラッシュ・シンバルを一発ぶちかまし、豪快に手数を入れて打ち鳴らす。
 演奏メンバーはこれで終わりのはずだが、DJが再び観客を呼び戻した。
「オン・トランポリィン! カワタァニー!」
 ――え? 耳を澄ますと、かすかに何かギシンギシンと鳴っている。
「わあっ!」と突然観客が湧き立った。割れんばかりの歓声と拍手の渦。
 え、何なに? いま何かしたの? 慌ててコンポにかじりつくと、もう四曲目に移っていた。

(おわり)

後書き・コメントなど
posted by sleepdog at 19:13| 北海道 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 旧作倉庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「うの字」

 こんばんは。僕は「う」の字を足し引きできる能力を持っています。
 すいません。あんまり夜道が暗かったので、四月を消してしまいました。僕は「う」の字を足し引きすることしかできないから、卯月からそれを取って月に変えてしまったのです。
 すいません。小鉄(隣の家の猫です)に盛りがついてうるさかったので、「う」の字を加えて鋼鉄にしてしまいました。庭に小鉄の像があるのを見ると、さすがにちょっと胸が痛みます。
 すいません。友達が言ってもなかなか信じないので、公園にあったテントに「う」の字を加えて、転倒させてしまいました。中におじさんたちがいるとは思わなかったので。
 すいません。ほんとにすいません。交番を小判に変えたのも(拾って他の交番に届けました)、女郎をジョウロに変えたのも(水浸しにしてしまいました)、牛丼をギュドンに変えたのも(まったく得体の知れない怪獣になってしまいました)、みんなみんな僕の仕業なのです。
 学校帰り、銭湯の前を通る度に思うのです。銭湯から「う」を取ったら一体どうなるんだろう(どっちになるんだろう)。最近はそればかり気になっています。

(おわり)

後書き・コメントなど
posted by sleepdog at 19:06| 北海道 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「山門の入口に」

 山門の入口に堂々と「犬連込厳禁」という立て札があった。中年夫婦はふと足を止めた。
「何だろうか――」
「えっ。散歩じゃないの?」
「ああ……。え、そうだよなぁ」
 おそらくは、散歩の時に寺に入っては糞の始末をしない飼い主に業を煮やした寺の住職がたまりかねてこんな立て札を出したのだろう。それはわかる。わかるが、犬に『連れ込み』という言葉は普通使わないように思う。そう言われたら、何らかの肉体関係というか、情欲の嵐というか、劣情をそそるというか、どうもそういった関係を想像してしまう。
 そうなると浮かぶのは、犬を境内に連れ込んで、そこらの藪やお堂の中に侵入し、××したり、××したり、あまつさえ×××××の×××を××××に××××したりする情景である。それに気づいた住職が「こら〜!」と箒を振り回して怒鳴りつける。しかし結局、行為の跡だけが残されていて、それの後始末をしなければならない小坊主が、「和尚様、わたし、もうたまりません」と泣きながら訴えると、その小坊主を猫かわいがりしている住職は「よしよし、わかった。ワシに任せておけ」とばかりに、立て札を作って立てる(もちろん達筆)――といったプロセスなのである。
 やはり『連れ込み』という言葉はもっと慎重に選ぶべきだろう。
「住職ともあろう御方が……」
「何が?」
 日本語の機微を解せぬ妻を置いて、夫は一足先に山門をくぐった。

(おわり)

後書き・コメントなど
posted by sleepdog at 18:46| 北海道 ????| Comment(2) | TrackBack(0) | 旧作倉庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「象を捨てる」

神はうっかり手を滑らせて、地球を支える象を一頭捨ててしまった。
案の定、地盤がグラグラ揺れだした。
残った三頭の象が一斉に悲鳴を上げる。
神は慌ててマウスを動かし、象をゴミ箱から元に戻した。

(おわり)

後書き
posted by sleepdog at 18:44| 北海道 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 旧作倉庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「魔法」(3)

 全国の何万人という暇なおばさんが見つめる生番組に1本の電話がつながっている。オールバックの司会者は仏頂面で第一声を切り出した。
「奥さん、今日はどうしたの?」
「あの……」
 機械で声が変えられている。女性は言いよどみ、その後が続かない。
「言いにくいのはよぉく分かってるよ。でもさ、せっかく電話してきたんだから」
「わたし……魔法が使えなくなっちゃったんです」
「ええ?!」スタジオがどよめく。
 しかし、熟練の司会者は動揺を見せず話を続けた。
「奥さん、お年は?」
「米倉涼子さんと同い年です」
「ご主人は何をなさってるの?」
 少し間があった。
「ザリガニです」
「は? どういうこと?」
「ケンカしてザリガニに変えちゃいました。でも、元に戻せなくなって……」
「何で急に使えなくなったの?」
「2人の強い愛がないとダメなんです!」
「ザリガニじゃ愛せない?」
「体臭が我慢できなくて……。洗剤でよく洗ってみたんですけど、主人もそれきりぐったりしちゃうし」
「これ……どうですかねぇ?」
 司会者はゲストに振った。スタジオは『洗剤はどんな成分の物を使ったのか』という話題で白熱した。魔法の国の暇なおばさんたちは固唾を飲んで見つめ続ける。

(おわり)

後書き
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「魔法」(2)

 この手に宿る、今もって鮮明なひとつの感触。二十五年を生きてきて、一度だけ、あれは“それ”らしきものだったのかと思える出来事がある。
 大学時代のある日。
 自転車でバイトに向かう途中だった。寝坊したせいで全然時間がなかった。それなのに、起きぬけの飢餓に耐え切れず、マクドナルドに飛び込んだ。注文すると、スマッシュを打ち返すようにすぐ出てきた。
 足早に店を出て、自転車をこぎながら大急ぎでチーズバーガーセットを食べる。ハンドルを拳で押え、ハンバーガーとコーラとポテトを交互に口へ運ぶ。信号に引っ掛かればブレーキをかけて止まる。通行人はベルを鳴らしてすかさず避ける。
 そして、バイト先に着くまでのわずか五分間余りで、僕はポテト一本すら残さず全て食べ切った。いつ思い返しても、本当にどうやって食べたのか自分でも分からない。

(おわり)

後書き
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「魔法」(1)

 僕の彼女はひとつだけ魔法を使える。
「タイムカプセルを埋めた場所を探し当てる」魔法。
 皆はっきり言いたがらないけれど、人間は誰もがそういうような魔法を必ずひとつ使えるようだ。例えば、僕の弟は「喉に引っ掛かった魚の骨を取る」魔法。僕の友人の田中は「触るだけで食べ物の賞味期限が分かる」魔法。木下は「ペンキの塗り立てを一目で判別する」魔法。
 という具合だ。
 僕は自分のがどんな魔法かまだ知らない。気になるけれど、分かってしまったら、それはそれで寂しいものだ。いつも通り暮らす中でちょっとした奇蹟が訪れる瞬間を、僕は何気なく待ち続けている。ジャングルジムの高層階に登って。

(おわり)

後書き
posted by sleepdog at 18:35| 北海道 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 旧作倉庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「二人だけの秘密」

Pは知っている。“休め”をすれば、Rになることを。
Rは当然それを知っている。しんどい時、Pに代りを頼むから。
知らなかったのは他の24人とあなた。
秘密を見破る魔法の言葉を教えましょう。
SECRET
「気をつけ!」
SECPET

(おわり)

後書き
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「お祝いのロケット」

隣町に「小祝い牧場」というのがある。
牛が沢山いる。羊もわりといる。犬もちょろっといる。
あと、おじさんがざっと見て三十人はいる。
全員毎朝同じバスで通っている。
おじさん達は毎日家畜に適当に草を与え(犬にも草をあげている)、
それ以外何にも世話をせず、せっせとロケットを作っている。
『小祝いのロケット』(登録商標)だ。
音が小さい。色も地味。メッセージはおじさん達の手書きだ。
でも、ナチュラルを愛する人々からの注文が絶えない。
世の中に、ナチュラルを愛する人は日々着実に増えている。

父さん(四十五歳)も来週からそこに勤めることになった。
歓迎の『小祝いのロケット』が用意されているといいなぁ。
午後は、一緒にバスの定期を買いに行こう。

(おわり)
posted by sleepdog at 18:22| 北海道 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 旧作倉庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「二人だけの秘密」

Pは知っている。“休め”をすれば、Rになることを。
Rは当然それを知っている。しんどい時、Pに代りを頼むから。
知らなかったのは他の24人とあなた。
秘密を見破る魔法の言葉を教えましょう。
SECRET
「気をつけ!」
SECPET

(おわり)

後書き
posted by sleepdog at 18:18| 北海道 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 旧作倉庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「お祝いのロケット」

隣町に「小祝い牧場」というのがある。
牛が沢山いる。羊もわりといる。犬もちょろっといる。
あと、おじさんがざっと見て三十人はいる。
全員毎朝同じバスで通っている。
おじさん達は毎日家畜に適当に草を与え(犬にも草をあげている)、
それ以外何にも世話をせず、せっせとロケットを作っている。
『小祝いのロケット』(登録商標)だ。
音が小さい。色も地味。メッセージはおじさん達の手書きだ。
でも、ナチュラルを愛する人々からの注文が絶えない。
世の中に、ナチュラルを愛する人は日々着実に増えている。

父さん(四十五歳)も来週からそこに勤めることになった。
歓迎の『小祝いのロケット』が用意されているといいなぁ。
午後は、一緒にバスの定期を買いに行こう。

(おわり)
posted by sleepdog at 18:13| 北海道 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 旧作倉庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「お祝いのロケット」

隣町に「小祝い牧場」というのがある。
牛が沢山いる。羊もわりといる。犬もちょろっといる。
あと、おじさんがざっと見て三十人はいる。
全員毎朝同じバスで通っている。
おじさん達は毎日家畜に適当に草を与え(犬にも草をあげている)、
それ以外何にも世話をせず、せっせとロケットを作っている。
『小祝いのロケット』(登録商標)だ。
音が小さい。色も地味。メッセージはおじさん達の手書きだ。
でも、ナチュラルを愛する人々からの注文が絶えない。
世の中に、ナチュラルを愛する人は日々着実に増えている。

父さん(四十五歳)も来週からそこに勤めることになった。
歓迎の『小祝いのロケット』が用意されているといいなぁ。
午後は、一緒にバスの定期を買いに行こう。

(おわり)
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メロメロパーク